2012年 05月 15日

鎌倉へ、石元泰博写真展を訪ねました。
石元氏の桂離宮と言えば、雁行型の書院を斜めに撮った写真が印象にありましたが、
今回は書院や新御殿を南側から正対して撮った写真を多く拝見することができ、
屋根の連なりや床の高低差、ファサードの規律とプロポーションの美しさに、
改めて新鮮さを感じました。
また、淡々と展示されている、トリミングされていない写真を拝見することにより、
石元氏独自の目線、感性を味わうことができました。
写真集で感じていたストイックさよりも、
実際に訪れた際の感覚に近い、桂離宮の素の状態を感じました。

坂倉準三設計・神奈川県立近代美術館。
アプローチの階段から中庭を感じつつ、L字型の展示室に引込まれていきます。
展示室で集中力が切れる頃合いに、再び中庭空間に出ます。
一息ついて少し客観性が出てきた頃に、再び小さな展示室に入ります。
その横には独立したショップがあります。
大抵の美術館は定められたルートを通り、最後にお決まりのように
動線と混在したショップを通ることになりますが、ここではその強要がありません。
このショップでは落ち着いて"もの"と対峙する時間があり、
買い物が消費でなく蓄積につながると感じました。
再び中庭空間に戻り、ヒューマンスケールの階段を下りて、
池と一体化した外部空間...ピロティというよりも軒下空間...で
美術との密度の濃い時間を消化するための時間を得ることができます。
この美術館では各空間に、目的に沿った規律とスケールが用意されており、
それらの柔らかい構成によって、訪れた人の意志選択に対して、
絶妙なバランスで自由さと不自由さが与えられていると感じました。
松隈洋さんの「近代建築を記憶する」を改めて拝読すると、
「建築を構成する各要素は有機的に結合して一つの全体を
形成しているものでなければならない。」
という坂倉準三の言葉が書かれていました。
各要素が自立しているからこそ、同時的に、有機的に結合するのであり、
その結果、奥行きのある人間的な空間が生まれるのだと改めて考えさせられました。
何度も訪れている美術館ですが、年々、奥深さを感じることができます。
軒下空間で、増築された新館を見ながら、自分だったら、どう繋げたか...
などと考える余裕も生まれてきました。















